同期歌詞のつくりかた
お気に入りの曲に、自分の手でタイミングを付けてみよう。
ALRC(同期歌詞ファイル)を作って、アップロード、公開するまでの流れを解説します。
はじめに:おすすめの環境
🖥️ 入力は Windows / macOS 版アプリが断然おすすめ
タイミング付けはキーボードのスペースキーが速くて正確。Windows / macOS 版アプリでの作成を推奨します。
モバイルでも作れますが、その場合は物理キーボードを接続してキー入力するのがおすすめです。画面タップでもタイミングは入れられますが、筆者がやってみた体験では、タップでの入力はとても大変でした。
🎧 音ズレ防止に「有線イヤホン」を推奨
Bluetooth イヤホンや TV 接続(HDMI など)は、音が遅れて聞こえる「音ズレ」が起きやすく、タイミングがずれる原因になります。タイミング付けのときは有線イヤホン/スピーカーを使うのがおすすめです。
※ タイミングの入力(スペース/タップでの Time タグ付与、低速再生、全体ずらし、ファイル書き出し)はアプリの機能です。Web 画面の「編集」はタイトルなどメタ情報の編集用で、タイミングの作成はできません。
STEP 1歌詞を用意する
⚠️ 歌詞掲載サイトからのコピーはできません
一般的な歌詞掲載サイトは、規約でコピー・ダウンロードが禁止されているため、そこから歌詞を取得することはできません。
お持ちのアルバム CD などの実物がある場合は、その歌詞カード(ブックレット)を見ながらご自分で打ち込むなどして、歌詞テキストを用意してください。
その前に:タイミング付けは、端末の中の音楽ファイルで
タイミングを付けるときは、端末の中にある音楽ファイルを使ってください。Apple Music などで聴ける、DRM(コピー防止)で保護された曲(以下「保護された曲」)は、タイミング付けには向きません。
端末の中の音楽ファイルなら、鳴らしているのはアプリ自身です。スピーカーへ送り出した音の粒を数えているので、Time タグの時刻はその数え上げから決まります。
送り出してから耳に届くまでの遅れは別にありますが、同じ出力先を使っているあいだはほぼ一定です。アプリの「ぴったり調整」で一度測っておけば差し引けます(ワイヤレスやカーオーディオでは、接続のたびに変わることがあります)。
🔒 保護された曲では、いま何秒目かが正確に分かりません
保護された曲には、アプリが開いて読めるファイルがそもそもありません(権利者を守るための仕組みで、不具合ではありません)。そのため再生そのものを OS のプレイヤーに委ねることになり、その音はアプリの中を通りません。
アプリにできるのは「いま何秒目ですか」と尋ねることだけです。1 秒に 20 回ほど尋ねていますが、返ってくる値そのものが粗い刻みでしか更新されないため、細かく尋ねても細かい答えは返ってきません。
しかも、返ってきた「何秒目」が、スピーカーから出る音のどの瞬間に当たるのか——その対応関係が分かりません。音の出口そのものの遅れは調べられますが、再生を担当しているプログラムが内部でどれだけ先に読んで貯めているかは、外からは見えないためです。
表示がガクガクしないよう、アプリは最後に受け取った位置から時間のぶんだけ進めて画面を埋めています。画面が指しているのは、つねにおおよその位置です。
この誤差は一定ではなく、再生しているあいだも変わり続けます。そのため保護された曲で打った Time タグは、その瞬間たまたま生じていた誤差を、一つひとつ抱え込みます。
あとで手持ちの音源で再生しても、その誤差は打ち消されず、行ごとにばらついたまま残ります。全体を何ミリ秒ずらしても、ばらつきそのものは動きません。
💿 Apple Music で聴いている曲に付けたいときは
同じ録音の音楽ファイル(お持ちの CD から取り込んだものなど、ご自分が正規に手に入れた音源)をアプリに読み込んで、そちらで Time タグを付けてください。同じ録音であれば、できあがった同期歌詞はその曲の歌詞としてそのまま通用します。
配信されている版と手持ちの音源とで、曲の始まりの位置がわずかに違うことはありますが、それは曲全体で一定のズレなので「音ズレ補正」で合わせられます。
手持ちのファイルがない場合でも、保護された曲を再生しながら歌詞を眺めることは普通にできます。すでに公開されている同期歌詞のタイミングが気になるときは、作者に直しを提案することもできます。
※ 見分け方は「端末の中にファイルの実体があるか」です。ダウンロードしていないクラウド上の曲は、保護の有無にかかわらず同じ制限を受けます。
※ Mac で外部の音楽アプリを操作して再生している場合も、再生位置は相手のアプリからの報告になるため同じです。また保護された曲では、音そのものに手を加える機能(音質の調整など)も、同じ理由で使えません。
STEP 2アプリでタイミングを付ける(同期歌詞をつくる)
- 1
音楽を再生しながら、歌詞を貼り付ける
タイミングを付けたい曲を、端末の中の音楽ファイルで再生します(保護された曲が向かない理由は前の節のとおりです)。
アプリで対象の曲の「歌詞View」を開き、「Timeタグ編集」を選びます。さらに「歌詞TEXTの編集」をクリックすると、歌詞を直接編集できる画面になるので、用意した歌詞テキストをここに貼り付けます。
- 2
メタ情報を入力する
タイトル・アーティスト、タグを付けるメンバー(歌唱パート)、必要なら表示スタイル(フォントや色など)を入力します。
- 3
スペース/タップで Time タグを付けていく
歌い出しに合わせてスペースキー(またはタップ)で、1 行・1 文字ずつ Time タグを付けていきます。
- 4
最初から 1 倍速で再生して確認する
すべての Time タグを付け終えたら、曲の最初から 1 倍速で再生し、歌詞と音がぴったり合っているか確認します。
- 5
完成したら .alrc ファイルを書き出す
タイミングが決まったら、アプリからファイル(.alrc)を書き出します。これが「同期歌詞ファイル」です。
🐢 コツ:0.5 倍速・0.25 倍速で「ピッタリ」にこだわる!
1 倍速だと、人間の反応速度ではどうしても大きくずれてしまいます。0.5 倍速や 0.25 倍速のゆっくり再生で付けるのがおすすめ。ここはぜひ、ぴったり合わせることにこだわってください!
🎚️ 音ズレに注意:補正は「最後にまとめて」
Bluetooth や TV 接続をしていると、音ズレが発生している可能性が高いです。まず別の歌詞を再生してどのくらいズレるかを確認したうえで、最後に「全体をずらす」でまとめて補正してください。
そもそもの音ズレを防ぐため、有線イヤホンの使用を推奨します。
STEP 3Web でアップロードする
ファイルが書き出せたら、think-songs.com にログインして「アップロード」を開き、次の順に入力します。
- 1
ファイルを選ぶ(.alrc / .lrc / .txt・10MB まで)
作った歌詞ファイルをドラッグ&ドロップ、またはクリックして選びます。文字コードが UTF-8 でない場合は「UTF-8 に変換してアップロード(推奨)」を選んでください。
- 2
「著作権の確認」に答える
「この楽曲は外国作品ではありません」にチェックを入れ、続けて「この楽曲の権利者」を選びます(JASRAC/NexTone/私が権利を有しています/著作権フリー/その他=準備中)。
🌐 外国作品(海外の楽曲)は、権利処理の手続きが異なるため、現在このサービスでは対応していません(対応は検討中です)。ただし著作権フリーの曲はこの限りではありません。
- 3
タイトル・アーティスト・アルバムなどを入力する
タイトルは必須です(ファイルから自動入力されることもあります)。アーティスト・アルバム、必要なら「追加情報(作詞・作曲・編曲)」も入力します。アルバムカバーは、著作権のある画像(CD ジャケット・アーティスト写真など)は使わないでください。
- 4
公開状態は「非公開」のままが安心
公開状態は初期値の「非公開」のままがおすすめです(アップロード後に確認してから公開できます)。「作成者を公開する」「投稿者コメント」も必要に応じて設定します。
- 5
「内容を確認する →」→ 確認画面で見直し →「アップロードする →」
確認画面で、入力内容が正しいかをよく見直してから、アップロードします。間違いがあれば「← 戻って修正」で直せます。
📋 JASRAC / NexTone 管理曲は「作品データベース」で必ず確認!
市販曲など JASRAC・NexTone が管理する楽曲の場合は、必ず公式の作品データベースで検索し、作品コード・タイトル・アーティストを、表示されているとおりにそのまま入力してください。ここはとても大切なお願いです。
🎙️ 自作曲なら、音楽ファイルもアップロードできる!
権利者を「私が権利を有しています」または「著作権フリーです」にすると、音楽ファイル(MP3 / FLAC / AAC・100MB まで)も添付できます(同意のチェックが必要)。シーク精度の点で FLAC がおすすめです。みんなに聴いてもらおう!
「ダウンロードを許可する」をオンにすると、聴いてくれた人があなたの曲をダウンロードできます(初期はオフ)。
STEP 4確認して、公開する
- 1
マイページから、アップロードした曲を開く
「マイページ」→「投稿した歌詞」から、いまアップロードした曲を開きます(非公開の曲には「非公開」バッジが付きます)。
- 2
プレイヤーでタイミングを最終確認する
曲ページのプレイヤーで再生し、同期表示を最終チェック。行をタップするとその位置へ移動できます。少しのズレは「音ズレ補正(±50ms・↺ 戻す)」で、音源がない場合は「−0.5s/−0.2s/+0.2s/+0.5s」で全体をずらして合わせられます。
- 3
「公開設定」で、いよいよ公開!
タイミングに納得できたら、曲ページの「公開設定」で「公開」または「限定公開(リンクを知る人だけ)」に変更します。これで完成、いよいよ公開です!
STEP 5公開したあと:みんなで「ぴったり」にする
公開した歌詞に「ここ、少しだけずれているかも」と気づいた人は、直しを提案できます(タイミング修正リクエスト)。提案が勝手に反映されることはありません。何がどう変わるのかを見たうえで、採用するかどうかを決めるのは、いつでも投稿者であるあなたです。
届いた提案は「マイページ →タイミング修正リクエスト」に並びます。ここで使う「差分(さぶん)」の読み方が、この章のテーマです。
差分の読み方
差分には、変更のある行だけが並びます。曲全体を並べても「どこが変わったのか」が分からないためです。1 行はこんな見た目になります。
ひとりのよる
- 左上の「12行目」と「0:12.400」は場所の手がかりです。歌詞の何行目で、その行が何分何秒から始まるか。
- その下の文字列は、その行の歌詞そのもの。どのフレーズの話なのかを取り違えないために出しています。
- チップの左が「動かしたい文字」、右が「動かす量」。プラス(黄色)は遅らせる、マイナス(水色)は早める、という意味です。上の例は「と」を 60ms 遅く、「り」を 40ms 早く、という提案。
- あなた(投稿者)と運営には、これに加えて「0:12.680 → 0:12.740」のように変更前後の実時刻も表示されます。
歌詞の文字そのものの直し(誤字・ふりがな)は、緑色で出ます。左の取り消し線が今の歌詞、右が提案された内容です。
光がさす
🔎 文字の直しは、必ず自分の目で確かめてください
タイミングのズレは「合っているか」がはっきりしますが、歌詞の文字は、あなたが歌詞カードを見て入力した内容が正しいことも多いです(表記ゆれ・意図的なひらがな・アーティスト独自の表記など)。緑のチップが出ていたら、鵜呑みにせず歌詞カードと見比べてから決めてください。
受け付けられる直し・受け付けられない直し
修正リクエストで送れるのは「タイミングの直し」と「文字の直し」だけです。歌詞の構成(行や語の区切り)が変わる提案は、送る時点でお断りしています。理由は最後に説明します。
✅ ① 1 文字だけ、少し遅らせる/早める
いちばん多いパターン。歌い出しの子音の分だけ早い、伸ばした母音の切れ目がずれている、など。
- [00:12.400]<0.00>ひ<0.28>と<0.55>り<0.90>の + [00:12.400]<0.00>ひ<0.34>と<0.55>り<0.90>の
→ 「と」だけが +60ms。差分にもチップが 1 つ出ます。
✅ ② 行の入りから後ろが、まるごと少しずれている
その行の文字が全部同じ方向へ動きます。間奏明けの入りだけ遅れている、といったときのかたち。
- [00:18.900]<0.00>光<0.62>が<1.05>さ<1.44>す + [00:18.900]<0.08>光<0.70>が<1.13>さ<1.52>す
→ 4 つのチップが全部 +80ms。行頭の [00:18.900] は変えず、行内の相対タグだけを動かすのがコツです。
✅ ③ 誤字・ふりがなの直し
文字を「置き換える」のは大丈夫です。1 文字を 1 文字に、ふりがなをふりがなに。
- <0.00>{光|ひかり}<0.62>が
+ <0.00>{光|ひかる}<0.62>が→ 緑のチップで「光(ひかり) → 光(ひかる)」と出ます。
✅ ④ タイミングと文字を、同時に直す
「誤字を直したついでにタイミングも」はよくあります。両方まとめて 1 件の提案にできます。差分には緑と黄色/水色が並びます。
🚫 ⑤ 行を増やす・減らす
抜けていた 1 行を足す、繰り返しのサビを足す、空行を整理する — どれも受け付けられません。
[00:18.900]<0.00>光<0.62>が<1.05>さ<1.44>す + [00:22.000]<0.00>あ<0.50>さ<1.00>が<1.50>くる
→ 「歌詞そのものが足りない/多い」は、コメント(曲ページの「問題を報告」)でお知らせください。あなた自身がアプリで直して差し替えるのがいちばん確実です。
🚫 ⑥ 語の区切り方を変える(分ける・くっつける)
文字は同じでも、タグの入る位置が増減すると受け付けられません。
- [02:14.350]<0.00>きみと<0.62>あるき<1.35>だす + [02:14.350]<0.00>き<0.30>み<0.62>と<1.00>あるき<1.35>だす
→ 「きみと」を 1 文字ずつに割るのは、より細かく光らせたいという良い提案ですが、この仕組みでは送れません。コメントで伝えてもらってください。
🚫 ⑦ 曲全体が、同じだけずれている
「全体的に 0.2 秒くらい遅い気がする」は、歌詞ファイルを書き換える話ではありません。聴いている人それぞれの環境(Bluetooth・端末・音源)で違うためです。
→ プレイヤーの「音ズレ補正」で、聴く人が自分の環境に合わせられます。全体がずれた提案は、送る時点で「音ズレ補正をお使いください」とご案内します。
🚫 ⑧ 変更が大きすぎる(曲の半分を超える)
それはもう「直し」ではなく「作り直し」です。差分が長くなりすぎて、あなたが確認しきれません。その場合は、その方にご自身の歌詞として投稿していただくのがよいと思います。
🚫 ⑨ 曲名・アーティスト・作詞作曲・作品コードの間違い
これらは歌詞ファイルの本文ではないので、修正リクエストでは直せません。コメントでお知らせいただき、あなたが Web の「編集」から直してください。
🧩 なぜ「行や語の増減」だけは受け付けないのか
差分は「何行目の、何番目の文字か」という番号で、今の歌詞と提案を突き合わせています。行や語の数が変わると、この番号の対応が丸ごとずれてしまい、差分そのものが意味を持たなくなります。
そしてもっと大事なのは、対応がずれた状態では「見えない変更」が紛れ込む余地ができることです。あなたが画面で見た差分と、実際に反映される内容が食い違ってはいけません。だからここだけは、はっきりお断りする仕様にしています。
採用するときにできること
- 1
聴いて確かめる
レビュー画面の「🎧 聴いて確かめる」を開くと、各行が上下 2 段になります。上が「いまの歌詞」、下が「提案の歌詞」。同じ再生位置で同時に色が乗っていくので、どちらが先に光るか=どちらが音に合っているかを、その場で見比べられます。
切り替え式にしていないのは、色の塗り分けの差は記憶で比べられないからです。50ms のちがいは、並べて同時に流して初めて見えます。
- 2
行ごとに選んで採用する(部分採用)
「1 行目の直しは確かに正しいけれど、3 行目は自分の意図どおり」というときは、行のチェックを外してください。チェックを付けた行だけが反映され、外した行はいまのままになります。
- 3
見送る
採用しない選択も、もちろんあります。あなたの歌詞です。意図した表現であれば、遠慮なく見送ってください。
- 4
あとから元に戻す
採用したあとで「やっぱり前のほうが良かった」と思ったら、曲ページの「履歴」からいつでも戻せます。履歴は消えないので、戻したものをもう一度戻すこともできます。安心して採用してみてください。
🤝 採用すると、直してくれた人の名前が曲ページに載ります
提案が採用された方は、曲ページに「ぴったり調整」として表示されます。ひとりで完璧に合わせるのは大変です。気づいてくれた人と一緒に、少しずつ「ぴったり」に近づけていってください。
🔁 「作り直しが必要」と表示されたら
あなたが歌詞ファイルを差し替えたり、履歴から巻き戻したり、別の提案を採用したりすると、それより前に届いていた提案は位置が合わなくなります。この場合、提案は自動的に「作り直しが必要」になり、提案者にはその旨をお知らせします。
これは却下ではありません。内容に問題があったわけではなく、土台の歌詞が動いたというだけなので、提案者は最新の歌詞でもう一度送ることができます。
※ 直しを提案する(送る)操作はアプリの機能です。Web 画面では、届いた提案のレビューと採用を行います。また、提案してくれた方には変更量(±ms)までを表示し、タグの実時刻はお見せしていません。あなたが時間をかけて合わせたタイミングそのものを守るためです。
準備はいいですか?
JASRAC・NexTone 利用許諾済み。権利者に配慮した運用を行っています(歌詞の保護・配信制限あり)。